コーヒーふたつぶんのご夫人
2003年5月20日仕事場の近所にPRONTOがある(パスタ屋系喫茶店のチェーン)。
少し前のことだが、そのPRONTOでこんなことがあった。
昼食をとる時間がずれこみ、どの店ももうランチの時間を過ぎていたので、PRONTOでパスタでいいか、と夫とふたりで店へいった。
注文のあと、二人がけの席があったのでそこへ落ち着いた。壁際の席で、隣のテーブルには上品な感じのご婦人。
注文の品が来るまで二人でダラダラと喋っていると、ふと奇妙な雰囲気に気がついた。夫も同時に気がつき、そこからはもう自分達の会話なんかうわのソラ状態になってしまった。
隣のご夫人「……そうなのよねぇ……近ごろは、PTAも大変みたいよ……」
夫「……(あれ?)」
猫亭「……(あれ?)」
隣のご夫人「ええ……でも、私も言ってみたんだけど……そうなのよ、わかるわぁ。でもね、やっぱり教育のことはきちんと考えないと。……ええ、ええ、それはそうなんだけどね………おほほほほっ そりゃそうよ、おほほほほっ」
見た目には、まったく普通のご夫人である。服装もまったく問題ないし、目つきが怪しいこともない。姿勢もきちんとしているし、声の調子も普通。
しかし、決定的に間違っているのは、ご夫人の正面には誰も座っていないということなのだ。
携帯電話で喋っているわけではない。手には携帯ではなく、コーヒーカップとソーサーを持っている。
そして更にコワイ状況が目の前で展開されていた。
夫「……(小声で)ねぇ……あの、正面にあるカップは誰が飲んだものなのかなぁ」
そうなのだ、ご夫人の対面には、今飲んでいるコーヒーの他に、空になったコーヒーカップがきちんと置かれているのだ。
隣のご夫人「……それはいけないわ、それはねぇ、ほっといてはダメよ。よく相談したほうが。……ええ、わかるわぁ。……そうよ、教育問題はね、大事よ」
どうやら、何か熱心にアドバイスをしているらしい。顔つきも真剣である。
でも、でも、誰もいないんだよ〜〜。誰が飲んだんだよそのコーヒー。店員さんも見てみぬフリしてるし(代金先払いだから、食い逃げの心配ないしねぇ…)。
もうパスタの味も(どうせ大したことない味だが)、飲み物の味もぶっとんでしまって、ただただこの成り行きに興味津々で二人して耳ダンボ状態。
しかし、いいかげん仕事場に戻らないといけない時間になってしまったので、後ろ髪ひかれる思いで席を後にした。ご夫人は、まだ喋り続けていた。
ああ気になる。あのご夫人は、もしや定期的にあの店であのように見えないお友達と喋ってるんだろうか、教育問題の相談をしつつ。そしてそのたびに、2人分のお茶が用意されるんだろうか。どういう流れでそれが空になるのか……知りたいっ!見たいっ!
少し前のことだが、そのPRONTOでこんなことがあった。
昼食をとる時間がずれこみ、どの店ももうランチの時間を過ぎていたので、PRONTOでパスタでいいか、と夫とふたりで店へいった。
注文のあと、二人がけの席があったのでそこへ落ち着いた。壁際の席で、隣のテーブルには上品な感じのご婦人。
注文の品が来るまで二人でダラダラと喋っていると、ふと奇妙な雰囲気に気がついた。夫も同時に気がつき、そこからはもう自分達の会話なんかうわのソラ状態になってしまった。
隣のご夫人「……そうなのよねぇ……近ごろは、PTAも大変みたいよ……」
夫「……(あれ?)」
猫亭「……(あれ?)」
隣のご夫人「ええ……でも、私も言ってみたんだけど……そうなのよ、わかるわぁ。でもね、やっぱり教育のことはきちんと考えないと。……ええ、ええ、それはそうなんだけどね………おほほほほっ そりゃそうよ、おほほほほっ」
見た目には、まったく普通のご夫人である。服装もまったく問題ないし、目つきが怪しいこともない。姿勢もきちんとしているし、声の調子も普通。
しかし、決定的に間違っているのは、ご夫人の正面には誰も座っていないということなのだ。
携帯電話で喋っているわけではない。手には携帯ではなく、コーヒーカップとソーサーを持っている。
そして更にコワイ状況が目の前で展開されていた。
夫「……(小声で)ねぇ……あの、正面にあるカップは誰が飲んだものなのかなぁ」
そうなのだ、ご夫人の対面には、今飲んでいるコーヒーの他に、空になったコーヒーカップがきちんと置かれているのだ。
隣のご夫人「……それはいけないわ、それはねぇ、ほっといてはダメよ。よく相談したほうが。……ええ、わかるわぁ。……そうよ、教育問題はね、大事よ」
どうやら、何か熱心にアドバイスをしているらしい。顔つきも真剣である。
でも、でも、誰もいないんだよ〜〜。誰が飲んだんだよそのコーヒー。店員さんも見てみぬフリしてるし(代金先払いだから、食い逃げの心配ないしねぇ…)。
もうパスタの味も(どうせ大したことない味だが)、飲み物の味もぶっとんでしまって、ただただこの成り行きに興味津々で二人して耳ダンボ状態。
しかし、いいかげん仕事場に戻らないといけない時間になってしまったので、後ろ髪ひかれる思いで席を後にした。ご夫人は、まだ喋り続けていた。
ああ気になる。あのご夫人は、もしや定期的にあの店であのように見えないお友達と喋ってるんだろうか、教育問題の相談をしつつ。そしてそのたびに、2人分のお茶が用意されるんだろうか。どういう流れでそれが空になるのか……知りたいっ!見たいっ!
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